はじめに
本市は、これまで平成7年、平成11年及び平成16年の3次にわたり、行財政改革大綱を策定し、組織・機構の簡素合理化、事務・事業の見直し、定員管理・職員給与の適正化、特別会計・公営企業の経営健全化等に取り組み行政体制の整備や財政健全化に努めてきました。
しかしながら、今日、わが国では、少子高齢化の進展、価値観の多様化に伴う行政ニーズの拡大等、社会構造に大きな変化が続いている中、アメリカ発の世界的な金融危機は、わが国にもさらに大きな影響を与え、多くの企業が倒産又は事業の縮小をせざるを得ない状況となり、経済情勢はますます悪くなってきています。
このような状況の中、本市におきましても、国からの地方交付税、補助金等の減少、雇用、市民生活、経済状況の不安からくる市税収入の減少等、地方財政を取り巻く環境はますます厳しい状況になっていくものと予測されます。
そのため、これまで以上に、職員の削減や経費節減等の推進、給与の見直しなど、市職員自らが身を粉にして業務を遂行しなければ、市民の理解は得られないことを肝に銘じながら、行政のスリム化と健全な財政運営に取り組んでいく必要があります。
常に時代の状況を読み、経営意識と危機意識をもって業務に当たり、多様化する市民ニーズに対応し市民によりよいサービスを提供するとともに、限りある財源を最大限有効活用し効果的な行財政運営を行っていくうえでの基本的な考え方をまとめた今後5か年間の第4次行財政改革大綱を策定しました。
〔1〕 水俣市第4次行財政改革大綱策定の背景
1 現状と課題
(1)主な社会・財政情勢
【社会情勢】
【財政情勢】
(2)現 状
本市の現状は、水俣市第3次行財政改革大綱策定時と比較すると、国から地方への税源移譲に併せ地方交付税の削減、国庫支出金の削減を図る三位一体の改革の影響で、地方交付税は減少を続けています。
また、昨今の世界的金融危機の影響、歯止めがかからない人口減少、少子高齢化の進展、地域経済の低迷など法人市民税、固定資産税をはじめとする税収は今後も大幅な伸びは、期待できず、一般財源は減少傾向にあり、その状況はますます厳しくなるものと予測されます。
(3)課 題
経常収支比率等を含む各指標は、今後5年間いずれも停滞又は悪化することが見込まれ、財政の硬直化が懸念され、本市を取り巻く環境は、ますます厳しくなっていくものと思われます。限りある財源をいかに最大限に有効活用し効果的な行財政運営を行っていくかが課題となります。
2 水俣市第3次行財政改革大綱の成果検証
(1)水俣市第3次行財政改革大綱
水俣市第3次行財政改革大綱は、「みなまた独自の地域自治の確立をめざして」を基本理念として、「地域経営の基盤となる“水俣市株式会社”」の確立をめざして5つの視点から平成16年度から平成20年度までの5年間を計画期間とし、行財政改革に取り組んできたところです。
(2)水俣市第3次行財政改革大綱の成果検証
平成16年度から水俣市第3次行財政改革大綱に基づき行財政改革を進め、その推進に取り組み、行政改革及び財政改革においては、一定の成果を得ているところであります。しかしながら、依然として本市を取り巻く環境は厳しさを増し、より一層の行政のスリム化と財政の健全化が求められています。
〔2〕 水俣市第4次行財政改革大綱の基本的な考え方
本市を取り巻く行財政環境は今まで以上に厳しさを増すことが予測され、より一層の行政のスリム化と財政の健全化が求められます。その内容は、今後の本市の人口、財政力に見合う内容とし、水俣市第3次行財政改革大綱で取り組んだ成果を踏まえ、「意識改革」を柱とする3つの改革(意識改革・行政改革・財政改革)に取り組み、水俣市第4次行財政改革大綱で新たに計画される項目と合わせてさらなる行財政改革を推進していきます。
〔3〕 水俣市第4次行財政改革大綱の計画期間
水俣市第4次行財政改革大綱の計画期間は、平成21年度から平成25年度までの5か年間と設定し、具体的な取り組みを実施していきます。
〔4〕 水俣市第4次行財政改革大綱の推進項目
本市の行財政改革を推進するに当たっては、「意識改革」・「行政改革」・「財政改革」の3つの改革を設けその具体的推進項目として8つの視点から将来にわたって本市の発展が図られるよう行財政全般にわたる実効性のある改革に取り組むものとします。
〔5〕 水俣市第4次行財政改革の取組み
【意識改革】
1 職員の意識改革
職員一人ひとりが目標を持ち、自主的、自発的に行動し常にコスト意識やスピード感を持ち、費用対効果を意識した職務遂行ができるようこれまで以上に意識改革の取組みを進めます。
2 人材育成の推進
「水俣市人材育成基本方針」に基づく取り組みにより専門的な知識や職位に応じた処理能力の育成を図り、常に市民の目線に立った新たな課題に積極的にチャレンジできる少数精鋭の育成を目指します。
3 市民参画と地域協働の推進
これまで以上に市民の視点に立った施策を展開し市民と行政が一緒になって施策を推進していく必要があり、ボランティアやNPO等、市民が進んで行政に参加できるような仕組みづくりを推進します。
【行政改革】
4 市民サービスの向上
市民サービスをより一層充実させるために、これまでのサービスの必要性や内容を見直し市 民のニーズに対して納得、満足してもらえる市民サービスを目指します。
5 事務・事業の見直し
事務・事業の見直しは、単なる事務・事業の切り捨てではなく、行財政全般にわたるチェックを行い、これまでの慣習や枠組みにとらわれず、時代や市民のニーズに即しているか、行政が行うべきかどうかについて、原点に返りゼロ・ベースから取り組みます。
6 定員管理と組織・機構の適正化
行政組織及び出先機関の統廃合、組織内部における事務執行や意思決定の方法の見直し等、簡素で効率的な行政運営を進め、抜本的な事務・事業の整理、組織の合理化と市勢に見合った組織・機構を目指します。
【財政改革】
7 健全な財政運営の推進
◇本市の財政状況をみますと平成19年度の一般会計の決算における経常収支比率は97.7%と財政構造の硬直化が進行しているところであり、財源の確保対策の強化も含め、行財政改革の推進を図り持続可能な財政運営に向けた種々の取り組みを行っていきます。
◇本市では、今後も高齢化の一層の進展が予想され、国民健康保険事業特別会計、介護保険特別会計、後期高齢者医療特別会計の予算規模の拡大が見込まれますので、これらの特別会計への一般会計からの繰出しの削減ができないか検討を進めていきます。
◇総合医療センターを取り巻く経営環境は、国の医療費抑制、医師不足による患者数の減少、団塊世代等の退職に伴う人件費の負担等、きわめて厳しい経営環境にありますが、引き続き経営健全化を推進し累積欠損金の解消に努めていきます。また、地域の中核的医療機関として緊急医療や高度医療等、地域医療を守るために医師確保に努め市民の医療福祉の向上を目指します。
8 民間活用の推進
公共施設における指定管理者制度の活用を積極的に推進し、民間の活力や経営手法の導入を通じ、経営の活性化を図ります。
民間事業者の手法を導入し、またその活力を活かすことによる効率的・合理的な行政運営を目指すとともに、様々な手法による委託の可能性の検証を行います。
〔6〕 水俣市第4次行財政改革の推進体制
◇行財政改革の推進に当たっては、常に職員自らが行財政改革大綱の理念に基づき、個々の推進項目の実施に主体的に取り組むとともに、ホームページや広報等を通じての市民への公表及び意見等をいただくことにより常に市民と一体となった行財政改革の推進を目指すこととします。
◇実施計画は、大綱の「〔4〕 水俣市第4次行財政改革大綱の推進項目」に掲げた8つの推進項目別に、[実施項目]・[取組内容]・[担当課]・[年度別取組内容]を明らかにし、計画的な行財政改革を推進するものです。