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みなまたの民話「寒川の水天宮と河童」

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 寒川ん水源にゃ水天宮さんがおられる。昔は地元の人たちや朝夕は決して水源にゃ近づかんごてしとったそうじゃ。なしてかちゅうと、水天宮さんが朝と夕方ん二回、久木野ん村中の河童たちば集めて、悪かこつせんごつ訓示ばせらす時間じゃっで、邪魔せんごつせろち言われとったげな。村ん衆はそん綻ばずーっと守っとったから、久木野ん河童は決して意地悪ばするようなこたせんじゃった。
 さて、こん村に弥丸郎ちいうばくりゅどんがおらった。ある日のこつ、牛ば引いて八代まで行く途中、二見の君が渕に辿り着き、牛を引いたまま川に入り渡り始むっと、今まで何ごつもなく青々と澄んどった渕の水が、急に糊のごてドロドロになって身動きとれんごつなり、牛もろとも弥九郎どんな渕の中に引っ込まれそうんなった。びっくりした弥九郎どんが苦しまぎれに、
 「おらぁ、久木野ん寒川ん水天さんの氏子じゃぞーッ!!」と太か声で叫んだ。
とこるが、あら不思議や渕の水はたちまち元んごつなって、ひとつしかなか命が助かったち話たい。それほど寒川ん水天さんな位いが高うして、霊験あらたかなご利益があったち言われとったばい。

 

水俣市史「民族・人物編」より


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