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みなまたの民話「底なし沼と逃げ口」

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 昔、むかし、大川内の尾ケ野近ぺんの山が活火山じゃったころ、そん噴火ででけた底なし沼ち言われとる池があった。この池の付近が「池ノ元」ちゅう地名で呼ばれ、今も小字名で残っとったい。
 そん村にいさぎゅうおどけもんがおったげな。 ある日、こん剽軽者がこの池ん端に遊びにきねた。むかしからこの池には大蛇が棲んどるちゅう言い伝えがあり、村人はみんな怖がってあんまり近づかんじゃったそうじゃ。ばってんか、それまで大蛇ば見たという者なだーるもおらんじゃった。
 剽軽者のこん男はついおどけた気持ちになり、池に向かって大声で「大蛇はおっとかぁ!!、おっとなら出てこい!!」と呼んで、尻ばひっぱっておどけてペンペン叩いた。途端に生ぬーっか風が吹き出し、アッと思う間に今まで晴れとった空が一ぺんに真っ黒か雲に覆われ、静かじゃった池の真ん中に突然水柱が立った。と同時に突如太か口ば開けて大蛇が水面に現れ、男めがけて襲いかかってきた。男はまさか大蛇がほんなこて出るちは思うてもおらんじゃったので、腰のつっかんぬぐるごてびっくりして、慌てふためき市ノ木の方さん薮くらばてんてこ舞して逃げたげな。男が逃げたところば逃げ口というて、今でん小字名が残っとるばい。
 こん話しゃ、昔底なし沼ち言われとったほどじゃから、子供たちが遊びに行って誤って沼に落ちこめば上がるこつができんから、沼に近づかんごつ戒めたもんじゃろち言われとる。今じゃ長い年月が経って土砂で埋まっとるばってん、湿地で今でんはまれば上がるこつができんじゃろち言われとったい。

 
水俣市史「民族・人物編」より


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