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みなまたの民話「鬼の材石」

最終更新日:

鬼の材石

 むかし、湯出の七滝の一つである大滝の近くに鬼の一族が住んでいた。家族が増えて棲家が狭くなったので、新しく家を造りたいと思って、鬼嶽の神様にお願いに行った。                
 神さまは、家を新築して鬼たちが長く住みついては村人が困るだろうと思ったが、神様としては、人も鬼も神の子として平等に扱わなければならないと思い、「お前どま、力の強かで明日ん朝、一番鶏が鳴く前に造り上げんば認めん」と条件をつけて許可した。
 鬼たちは一生懸命働いた。神様は気になるので夜明け前に様子を見に行った。作業は順調に進んで、この調子なら夜明けまでに出来上がるように思えた。
 神様は、「これは困ったことになった」と思ったが、一計を案じて山に帰り、“たかんばっちょ“を持って下りてきた。大滝の近くの木の繁みに隠れた神様は、大きな声で「コケコッコー」と鳴き声をあげて、たかんばっちょをバタバタ、バタバタと叩いて、鶏が羽ばたきする音をたてた。
 鬼たちは、一番鶏が鳴いたものと思い込み、残念そうに桜野上場の方へと引き揚げて行ったが、桜野上場の方から見下ろすと大滝の方はまだ暗闇の中だったので、鬼の大将は「さては騙されたか」と腹を立て、道端の大石を力いっぱい拳骨で突いたので、その大石には穴があいた。大石は今も道端に残っているという。

 
水俣市史「民族・人物編」より


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