水俣環境アカデミアでは、産学官が連携し、水俣高校電気建築システム科建築コースの生徒を対象に、森林・地元産材に関する知識や木材加工技術を学ぶ木育ワークショップを平成29年度から実施しています。
令和7年度、建築コースの生徒たちは、水俣市内の地域づくり組織「19区寄ろ会」の依頼を受け、地域で大切にされている「塩釜神社」の建具部分の製作に取り組みました。
水俣では江戸時代から製塩業が行われていましたが、明治43年に製塩業が整理され水俣の塩づくりは終わりを迎えました。「塩釜神社」はすでに江戸時代にはあったと考えられており、塩づくりが行われていた歴史を語ってくれる大事な存在であることから、水俣市の文化財群の構成文化財のひとつとしても位置付けられています。平成6年に19区寄ろ会が中心となって製塩を復活させ、守り伝えています。
今年度、生徒たちは伐採実習や森林講話を合同会社Woodone様(林業事業者)から、水俣市や塩づくりの歴史などを19区寄ろ会の方々や市教育課の文化財担当者から、設計やデザインのプロセスを株式会社KAYアーキテクツ様(県建築士会水俣芦北支部青年部)から学び、製作実技指導を水俣地区建具組合のものづくりマイスターから受けるなど、それぞれの専門家に実践的な技術と知識を学び、建具を完成させました。
11月21日、秋晴れの空の下、塩釜神社で行われた贈呈式で、生徒たちは完成した建具を19区寄ろ会へ贈呈。
建具は、本殿に取り付けられる観音開きの扉で、塩づくりにちなんで「盛り塩」や海の波などをイメージしたデザインです。
ものづくりマイスターが丁寧に指導した、釘などを使わない伝統的な木工技術「組子」が取り入れてあり、とても美しい仕上がり。
寄ろ会の皆さんは「よくできてるなあ」と感心して細部に見入っていました。

贈呈にあたって、生徒を代表して木本朝希さんと滝下颯大さんが
「この建具を無事完成させ、本日、贈呈式を迎えることができましたこと、生徒一同、心より感謝を申し上げますとともに、大きな達成感を感じております。これだけ沢山の方々に支えられ、取り組みを行ってこられたことは、私たちの財産です。連携先の皆様の心温まるご指導とご支援に改めて心より感謝申し上げます。今回製作した建具が、今後、塩釜神社に設置され地域の皆様に長く活用していただけることは、私たちの大きな誇りです。
この経験で培った地元への愛着、木材に対する知識、そしてものづくりの技術を活かし、私たちは将来、地域社会に貢献できる人材を目指して、今後も一層精進していきます。」とあいさつ。

また、関係団体の皆様からもコメントをいただきました。
製作指導にあたったものづくりマイスターの1人、古田建具店(古賀町)の古田正美さん
「皆さんが熱心に集中力をもって授業時間内に製作していたのが印象的でした。神社がある限り、建具も在り続けます。皆さんが大人になっても誇りになると思います」
伐採実習や森林講話を担当した合同会社Wood one 森林施業プランナー 緒方幹雄さん
「先祖が思いをつなげてきたその木がここに至ります。「過程」は貴重な体験。地元に帰ってきたとき、残っているのは素晴らしいと思う。たまには見に帰ってきていただければ」
そして、髙木校長先生からは
「本校は『本もの』を体験できるような取り組みに力を入れております。まさにこれは「本もの」を体験する学びの集大成。皆様のご協力があってここまでできました。ありがとうございました」という感謝の言葉が述べられました。
最後に、19区寄ろ会代表の廣島康雄さんが
「塩や海の波をイメージされたということで、よく勉強され、考えていただいてほんとうに有難うございました。皆さんが卒業して帰って来られる時には建具を見にきてください。寄ろ会は、これからも元気な限り塩づくりと神社を守っていきたいと思っております。皆さんのご協力でこのようなものができました。本当にありがとうございます。」
と謝辞を述べました。

閉式後は、生徒たちと19区寄ろ会、関係事業者の皆さんで記念撮影を行いました。

水俣高校のホームページでは、製作に関する過程を詳しく紹介しています。
ぜひご覧ください!
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水高diary(クリックすると水俣高校のホームページ記事に移動します)
伐採実習
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現地調査
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森林講話
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建築士講話
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デザインプレゼンテーション
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文化財講話
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水俣地区建具組合(ものづくりマイスター)による製作実技指導(1)
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水俣地区建具組合(ものづくりマイスター)による製作実技指導(2)
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水俣地区建具組合(ものづくりマイスター)による製作実技指導(3)
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水俣地区建具組合(ものづくりマイスター)による製作実技指導最終日
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