監査の種類
地方自治法等で定められた監査、審査、検査は、次の3つに分けられ、それぞれ以下のような種類があります。
「定期的に行う監査等」
「必要があると認められるときに行う監査」
「要求又は請求に基づく監査」
1 定期的に行う監査等
⑴
定期監査(地方自治法第199条第1項、第4項)
監査委員は、市の財務に関する事務の執行及び市の経営に係る事業の管理について、毎会計年度少なくとも1回以上期日を定めて、監査
します。
内容は、市のお金や財産が正しく、かつ効率的に使われているか、市の経営に係る事業の管理が効率的、効果的に行われているか等に
ついての監査です。
⑵
決算審査(地方自治法第233条第2項、地方公営企業法第30条第2項)
監査委員は、市長の依頼を受け、毎会計年度、会計管理者等が調整した決算書(一般会計、特別会計、公営企業会計)、証書類、事業報
告書その他の書類について、審査をします。
内容は、決算書等の計数を確認し、予算の執行と会計処理が適正に行われているかの審査です。
⑶
例月現金出納検査(地方自治法第235条の2第1項)
監査委員は、市の現金の出納について、毎月例日を定め、検査をします。
内容は、会計管理者や公営企業管理者が出納、保管する現金、預金、一時借入金等について、その管理状況等の適否等を検査し、現金預
金残高を確認します。
⑷
基金の運用状況審査(地方自治法第241条第5項)
監査委員は、市長の依頼を受け、毎会計年度、特定の目的のために定額の資金を運用するため設けた基金に関して、その運用の状況を示
す書類について、審査をします。
内容は、基金の運用状況を検証するとともに、基金の運用が、適正かつ効率的に行われているかの審査です。
⑸
地方公共団体の財政の健全化に関する法律に基づく審査
ア 地方公共団体の健全化判断比率審査(同法第3条第1項)
監査委員は、毎年度、市長が前年度の決算の提出を受けた後、その依頼を受け、実質赤字比率、連結実質赤字比率、実質公債費比率及
び将来負担比率(以下「健全化判断比率」といいます。)並びにその算定の基礎となる事項を記載した書類について、審査をします。
内容は、健全化判断比率等の計数を確認し、適正なものになっているかの審査です。
イ 公営企業の資金不足比率審査(同法第22条第1項)
監査委員は、毎年度、市長が前年度の決算の提出を受けた後、その依頼を受け、資金不足比率及びその算定の基礎となる事項を記載し
た書類について、審査をします。
内容は、資金不足比率等の計数を確認し、適正なものになっているかの審査です。
2 必要があると認められるときに行う監査
⑴
行政監査(地方自治法第199条第2項)
監査委員が必要と認めるときは、市の事務の執行について、監査をすることができます。
内容は、組織や職員配置、事務処理の手段、行政の運営等につき、その適正及び 効率性、有効性の観点から行う監査です。
⑵
随時監査(地方自治法第199条第5項)
監査委員が必要と認めるときは、いつでも定期監査と同様の監査をすることができます。
⑶
財政援助団体等に対する監査(地方法第199条第7項)
監査委員が必要と認めるとき、又は市長の要求があるときは、次のもの(以下「財政援助団体等」という。)の出納その他の事務で当該
財政的援助に係るものについて、監査をすることができます。
内容は、補助金等が正しく使われているか、その他の事務の執行が適正かつ効率的に行われているかの監査です。
ア 市が補助金、交付金その他財政的援助を与えているもの
イ 市が4分の1以上を出資しているもの
ウ 市が公の施設の管理を行わせているもの
⑷
公金の収納又は支払事務に関する監査(地方自治法第235条の2第2項、地方公営企業法第27条の2第1項)
監査委員が必要と認めるとき、又は市長若しくは企業管理者の要求があるときは、指定金融機関等の公金の収納又は支払の事務につい
て、監査をすることができます。
3 要求又は請求に基づく監査
⑴
住民の直接請求に基づく監査(地方自治法第75条)
選挙権を有する者の50分の1以上の連署による請求をもって、その代表者から、監査委員に対し、市の事務の執行に関し、監査の請求が
できます。
直接請求は、市の事務の執行について監査委員に監査を求め、監査結果を公表することによって、問題の所在、その適否を明確ならしめ
ることが目的です。
⑵
議会の請求に基づく監査(地方自治法第98条第2項)
議会は、監査委員に対し、市の事務に関する監査を求め、監査の結果に関する報告を請求することができます。
⑶
市長の要求に基づく監査(地方自治法第199条第6項)
監査委員は、市長から、市の事務の執行に関し要求があったときは、その要求にかかる事項について監査をしなければなりません。
⑷
住民監査請求に基づく監査(地方自治法第242条)
住民は、市の職員等について、違法若しくは不当な公金の支出、財産の取得、管理若しくは処分、契約の締結若しくは履行若しくは債務
その他の義務の負担があると認めるとき、又は違法若しくは不当に公金の賦課若しくは徴収若しくは財産の管理を怠る事実があると認める
ときは、これらを証する書面を添えて、監査委員に対し、監査を求め、当該行為を防止し、若しくは是正し、若しくは当該怠る事実を改
め、又は当該行為若しくは怠る事実によって、市が被った損害を補填するために必要な措置を講ずべきことを請求することができます。
⑸
市長又は企業管理者の要求に基づく職員の賠償責任に関する監査(地方自治法第243条の2の2第3項、地方公営企業法第34条)
市長又は企業管理者は、会計管理者等が、故意又は重大な過失により、保管する現金等を亡失又は損傷し、市に損害を与えたと認めると
きは、監査委員に対し、その事実があるかどうかを監査し、賠償責任の有無及び賠償額を決定することを求めなければなりません。