さくらサイエンスプラン水俣研修【7月4日~13日】
平成29年7月4日~13日、さくらサイエンスプラン水俣研修を実施しました。
水俣市では、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)の日本・アジア青少年サイエンス交流事業(さくらサイエンスプラン)を活用して、タイ王国(カセサート大学)、台湾(国立台北科技大学)、シンガポール共和国(南洋理工大学、シンガポール社会科学大学)から10人の大学院生及び3名の大学教授等を招へいし、水俣病の実情と教訓を正しく理解するとともに、地域の再生・活性化に取り組む活動を学ぶフィールドワークを行いました。
また、アカデミアと連携している大学教授及び研究者等により海洋生態学、再生可能なクリーンエネルギー学、環境工学等、最先端の科学技術について学ぶとともに、日本における環境行政についても学ぶなど、様々な観点から環境問題について学びました。
さらに、研修の最後の2日間は、九州大学において、水俣の地域再生に向けた持続可能性を、GDPに代わる新たな経済的指標である「新国富」により評価する等、各国へ帰ってからも活かせる技術を学びました。

研修2日目(7月5日)
アカデミアにおいて開講式を行いました。
その後、国立水俣病総合研究センターにおいて、蜂谷主任研究員による「水俣病の内容、原因等学習」に関する講義、永野主任研究員による「毛髪水銀濃度の測定」、そして松山国際・総合研究部長による「水銀分析技術研修」が行われました。

開講式での西田市長の挨拶

国立水俣病総合研究センター 蜂谷主任研究員による講義

国立水俣病総合研究センター 永野主任研究員による「毛髪水銀濃度の測定」

国立水俣病総合研究センター 松山国際・総合研究部長による「水銀分析技術研修」
研修3日目(7月6日)
エコパーク周辺にある水俣病情報センター、熊本県環境センター、水俣病資料館を見学しました。
その後、アカデミアにおいて、熊本県環境センターの篠原館長によるクリーナープロダクションの講義、水俣市職員による水俣市環境行政の説明を行いました。
夕方には、地域住民によるごみ分別作業を見学しました。

熊本県環境センターを見学

水俣病資料館を見学

熊本県環境センターの篠原館長による講義

地域住民によるごみ分別作業を見学
研修4日目(7月7日)
JNC株式会社水俣製造所及びエコタウンにある田中商店のガラスびんリサイクル工場を見学しました。
その後、袋湾へ移動し、国立水俣病総合研究センターの森室長による水俣湾を中心とした海洋生態学について、現地調査及び講習が行われました。
そしてこの日は、水俣市の各家庭へのホームステイを実施し、日本の生活文化に触れる体験もできました。
ご協力いただきましたホストファミリーの皆様、大変お世話になりました。
ありがとうございました。

JNC株式会社水俣製造所を見学

エコタウン(田中商店)のガラスびんリサイクル工場

国立水俣病総合研究センター 森室長による現地調査及び講習(袋湾において)
研修5日目(7月8日)
ホームステイ終了後、アカデミアにおいてホストファミリー及び水俣高校生を交えたランチミーティングを行いました。
初めに水俣高校生からSGH(スーパーグローバルハイスクール)の活動紹介があり、各研修生が自己紹介を行いました。
その後、各テーブルに分かれて、ホストファミリーや水俣高校生のみなさんと交流を深めることができました。
サプライズとして、水俣高校の弓道部と剣道部の実演もありました。
実際に剣道着を着用した研修生もいて、ホームステイに引き続き、日本の文化に触れることができました。
その後、愛林館へ移動し、沢畑館長による愛林館の取組みについての研修が行われました。

ランチミーティング

ランチミーティング剣道体験

沢畑館長による愛林館の取組み研修

棚田のしくみについて学ぶ
研修6日目(7月9日)
水俣浮浪雲工房において、紙漉き体験及び藍染め体験をしました。
その後、アカデミアにおいて、熊本大学の鳥居教授による「再生可能なクリーンエネルギー学」に関する講義、東洋大学の柏田教授による「応用生物科学」に関する講義、熊本県立大学の堤教授による、翌日の「魚の養殖技術研修」に関する事前学習を行いました。

紙漉き体験

藍染め体験

熊本大学の鳥居教授による講義

東洋大学の柏田教授による講義
研修7日目(7月10日)
鹿児島県出水郡長島町において、魚の養殖技術研修を行いました。
ブリ加工場、漁船に乗船して養殖現場、缶詰工場などを見学しました。
熊本県立大学の堤教授による「海洋生態学」の講義を受けながら見学しました。

熊本県立大学 堤教授(写真右奥)
研修8日目(7月11日)
市長表敬の後、九州大学に移動しました。
九州大学の島岡教授による「環境工学」の講義及び慶應義塾大学の小林特任教授による「日本における環境行政」に関する講義を受講しました。

九州大学において

九州大学 島岡教授による講義

慶應義塾大学 小林特任教授による講義
研修9日日(7月12日)
引き続き九州大学において、九州大学の馬奈木主幹教授による「新国富による地域環境持続可能性学」の講義が行われました。
その後、各研修生によるグループ発表が行われ、10日間にわたる研修内容の振り返りを行いました。
閉講式においては、各研修生に対し、アカデミアの古賀所長を通じて国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)より修了証が授与されました。

九州大学 馬奈木主幹教授による講義



グループ発表の準備及び発表会

アカデミアの古賀所長(左)を通じてJSTより修了証を授与
今回の、さくらサイエンスプラン水俣研修においては、屋内での講義だけではなく、多くのフィールドワーク研修も行いましたが、そのどれもが魅力的な研修となり、研修生は多くのことを学ぶことができました。
水俣環境アカデミアは、今後とも国内外の大学、研究機関等とのネットワークを拡大し、さらに充実した研修を実施していけるように取り組んで参ります。
