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みなまたの民話「肥前陣の黒ベコ」

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 侍村の肥前陣は、天正十五年四月、豊臣秀吉の島津征討に呼応して出征した肥前(佐賀藩)の軍勢が陣を構えたところで、その名があるが、黒べこはそこを塒にしていた。
 黒べコは夜になると、黒褌をした裸の大男になって現われ、道行く人たちを驚かすのが得意で、“肥前陣の黒べコ“と言って恐れられていたが、別に悪さをすることはなかったという。
 ところが、水俣の町もだんだんと開け、山の麓も伐採され、チッソの工場も拡がってきて、餌場になっていたところも次第になくなり、また空気も悪くなって暮らしにくくなったからか、暮らし馴れた肥前陣を離れることにした黒ベコは、ある日人間に化け、どこかの船頭さんを騙して長島(鹿児島)に渡してもらったそうな。ところが、この船が長島の海岸に着くなり、その客人は船賃を船頭に払うと船から飛び降り、さっさと山の中に消えて行ったので、不思議に思った船頭がもらった船賃をよく見ると、それは全部木の葉じゃったという話である。

 
水俣市史「民族・人物編」より


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